ひきこもりの対人関係における悪循環
ひきこもりの場合、それ自体が外傷体験として作用します。つまり、ひきこもりの期間が長いほど、その程度が重いほど、いっそうひきこもりが強化されるという悪循環が起こります。一般に体の病気であれば、発病とともに免疫反応などのさまざまな自然治癒力が反作用として起こり、うまくすれば病気は快方に向かいます。
しかしひきこもりの場合は、病的な状態であること自体が、いっそうその状態を強化し、安定化してしまうように作用するのです。これはなぜでしょうか。一つには、「ひきこもり」の原因が複数であることがあげられます。神戸大学名誉教授の中井久夫氏の指摘ですが、単純な心因のみで起こった精神疾患は、一般に単純な経過で改善していくことが多いです。
逆に経過が長くこじれがちな疾患では、原因も一つだけということはあまりなく、さまざまな要因が複合的にからみあって、治療努力を妨げていることが多いということです。たとえば、「いじめ」被害の外傷体験が長引きやすいのは、「いじめ」がしばしば長期間に及び、そのため非常に複雑な外傷体験として発展するためと考えられます。
ひきこもりにいたる原因の連鎖もまた、けっして単純なものではありません。そこには、原因ー結果という図式すら無効になるような、錯綜した状況が見て取れるようにも思います。しかし、単に錯綜しているがゆえに悪循環が起こるというだけでは、事態はあまりはっきりしません。もう少し判りやすく、図式的に整理してみましょう。
ひきこもりの問題は、つきつめれば対人関係の問題とみることができます。これらの複数の原因を、対人関係との関連から、3つの領域に分けて考えてみます。3つの領域とはすなわち、(1)個人、(2)家族、(3)社会です。わたしたちは、ひきこもり状態にある人は、これらすべての領域で、何らかの悪循環が生じているために長期化してしまうのではないかと考えています。
こうした悪循環は、多かれ、少なかれ、ほとんどの精神障害で起こりうるものです。ひきこもり状態で、きわだっいているのは、これら3つの領域が互いにひどく閉鎖的なものとなりがちな点です。ほかの精神障害では、個人レベルで悪循環が生じていても、家族の協力でそれを解消できる場合があります。また、家族関係が悪く、こうした悪循環が解決しにくい場合でも、個人がじかに社会に接したり、家族以外の対人関係のなかで問題を解決したりできる場合があります。
一時的に入院することで、家族からはなれ、患者個人が十分な治療を受けて回復する事例も少なくありません。ところが、ひきこもりの場合は、せっかく入院治療にいたっても、退院後の家族の対応が適切ではないと、すぐに元にもどってしまうことが多いのです。
ひきこもりの場合、この「個人と家族」「個人と社会」などの回路が、完全にふさがれてしまっていることが多いのです。さしあたっては家族の協力が頼みの綱なのです。実際、家族の理解ある対応によって立ち直る事例も数多くあります。しかしほとんどの場合は、家族との間にも悪循環がありますから、事態はいっそうこじれてしまいます。
非常に困ったことに、こうした悪循環は、まるで一つの独立したシステムのように、こじれればこじれるほど安定していきます。そしてひとたび、安定したシステムとして作動を始めると、すこしばかりの治療努力では、こうした循環を止めることが難しくなります。
待望の長男の名前は親の心的状態について
人間関係はどんどん変化します。どんなにうまくいっている間柄でもケンカすることがあります。逆にどんなに険悪な仲であっても、その状態が永久に続くわけではありません。今、お子さんが不登校やひきこもりの状態であったとしても、その子が生まれつきそうであったわけではないはずです。そうなる何かが少しずつ積み重なって、あるいはショックな出来事が引き金になって、そのような態度をとるようになってしまったのです。
親が目前の困った現実ばかりに目を奪われていてはよい解決策は出てきません。それよりも、子どもさんとの関係が「いちばん良かった」と思われるときの情景を思い出してみましょう。それは子どもさんがいくつのときでしたか。親子の間柄はどんな状態でしたか。子どもさんはどんなことを喜びましたか。子どもさんはどんな事柄について、目を輝かせて話しましたか。そのときのあなたの心の状態はどんなふうでしたか。
そして、あなたは子どもさんにどんな振る舞いをしましたか。これらのことを「再現する」ことを勧めているわけではありません。あなたのその時の気持ちを思い出してほしいのです。人には必ず元気の出る心的状態というものがあります。その状態を思い出し、その心をいま与えられた環境・状況の中でも抱き続けるのです。それがうまくできればスランプから脱出できるからです。そのとき、何を思い出しているかというと、良かったときの自分の気持ち(心的状態)なのです。
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