ひきこもりの家族支援の重要性
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ひきこもりの家族支援の重要性

家族支援を第一に考える

 

 

 

 

 

「ひきこもり」を主訴とした相談は、本人自身よりも家族が最初に来ることのほうが多いものです。「ひきこもり」がはじまってから何年も経っている事例も多く、これまで何回も相談機関や援助機関を訪れた経験をもっている家族もあれば、何年も様子を見てようやく初めて相談に訪れたという家族もあります。

 

 

 

 

 

それぞれの家族には、今回ここへ相談に訪れるに至ったそれぞれの事情があり、悩みや困っていることがあります。「ひきこもり」の事例への援助は、まず、この家族の悩みや困っていることに焦点を当てた相談や支援から始まります。

 

 

 

 

 

家族が支援の対象

 

 

 

 

 

「ひきこもり」の相談に訪れた家族は、少しでも「ひきこもり」が改善することを願っています。家族によっては、本人自身が治療機関や相談機関へ行ってくれさえすれば、あとは専門家に任せればよいと考えていたり、家族が相談へ来るのは本人が自ら相談へ訪れるための”つなぎ”だと思っていることもあります。

 

 

 

 

 

ですから、相談を続けていても「ひきこもり」の問題が変化しないと、相談に来ても意味がなかったと思って来所を中断してしまう場合も珍しくありません。

 

 

 

 

 

そして、家族はしばしば無力感に襲われ、以後相談へ行くことをあきらめてしまうこともあります。このとき同様に、援助者もまた無力感を感じてしまい、「ひきこもり」の問題に苦手意識をもってしまうこともあります。

 

 

 

 

 

もちろん、本人の行動が変化し、家から出てくれるようになることは重要なことですが、ここで大切なことは、そのことが家族支援の第一の目標ではないということです。

 

 

 

 

 

家族支援の目標は、仮に「ひきこもり」の問題はなかなか解決しなくとも、家族の困難度を減らすと同時に、家族が問題解決への意欲を持ち続け、ひきこもっている本人に粘り強く関わり続けていけるように援助することなのです。

 

 

 

 

 

その意味で、家族自体が支援の対象となるのです。

 

 

 

 

 

家族を支える

 

 

 

 

 

子どもが長期にわたってひきこもると、家族は自分たちがその原因なのではないかと自分を責めたり、将来への不安や悲観、絶望感を感じていることがしばしばです。

 

 

 

 

 

家族のほうがうつ状態を呈して治療が必要となることも珍しくありません。

 

 

 

 

 

毎日、子どもの行動を目を皿のようにして見守っていることも多く、ちょっとした子どもの変化に一喜一憂してしまいがちです。

 

 

 

 

 

そのような緊張した毎日に疲れ果てたとしても不思議ではありません。この苦しい状況を誰かに相談したくとも、家庭内のことを親戚や近隣の人に相談するのはかなり勇気のいることです。

 

 

 

 

 

つい、誰にも相談しないまま時間だけが経ち、家族自身もまた周囲から孤立していくこともまれではありません。こうした家族の孤立感や罪悪感を軽減することは、家族支援の大切な目標となります。

 

 

 

 

 

相談機関が家族にとって唯一本音を話せる場であることもしばしばです。家族のこれまでの努力や苦労を十分にねぎらい、共感的に話を聞くことが第一歩となります。

 

 

 

 

 

家族の罪悪感や無力感を解きほぐすために、次のようことを繰り返し伝えていきます。

 

 

 

 

 

○ 「ひきこもり」は誰にでも起こる可能性があります。

 

 

 

 

 

○ 「ひきこもり」は、対人関係の不安や自分に自信がもてないことなどを背景に、社会に一歩を踏み出せないでいる状態のことで、「怠け」や「反抗」などとは異なります。

 

 

 

 

 

○ 過保護や放任等の親の育て方や過去の家庭環境などに原因を求める考え方は、多くの場合、問題の解決にはあまり役に立ちません。

 

 

 

 

 

○ 家族の対応の仕方によって、少しずつ解決していける問題であり、家族や周囲が「ひきこもり」の解決を焦らないことが大切です。少なくとも、家族の焦りを本人にぶつけないことがポイントです。

 

 

 

 

 

○ それでも、どうしても家族に焦りは残ります。それは親としてとても自然な気持ちです。やり場のない気持ちを安心して話せる人や場所、自分たちの経験や思いを共有でき、孤立感を和らげられるような場所を見つけることも大切です。「家族教室」や「家族グループ」などがそれに役に立ちます。

 

 

 

 

 

少しの変化を試みる助言

 

 

 

 

 

家族にとってみれば、せっかく相談に来た以上は、何か新しいヒントをもらって帰りたいと思うのも自然なことです。確かに、わずかな相談で何か大きな変化を期待してもそれはやはり無理なことでしょう。

 

 

 

 

 

まずは、相談を繰り返すうちに援助者に少しずつできてきたイメージをもとに、少しの変化を試みてみる助言をすることがよいでしょう。

 

 

 

 

 

たとえば、「とりあえず明日からの生活に役立つヒント」といったようなイメージのもので十分です。また、家族が「これなら自分たちにもできそうだ」と思えるようことや、「今すでにやれていること」を強調することなどもよいでしょう。

 

 

 

 

 

このときに大切なことは、家族も援助者も結果を急がないということです。「助言どおりにしてみたのに、ちっとも変わらなかった」と家族が訴えることもあるかもしれませんが、結果が目に見えてくるのには時間が必要なこと、むしろ、がんばって取り組んでいる家族の意欲を評価して、もう少し続けてみることを応援するというかたちでよいのです。

 

 

 

 

 

家族の居場所を確保する

 

 

 

 

 

ひきこもっている本人と毎日を過ごしている家族は、身を削るような張り詰めた生活を送っていることがまれではありません。

 

 

 

 

 

しばしば家族自身が疲れ果て、抑うつ状態となったり、不眠や過度の不安が生じたりすることがあります。また、相談できるところも少なく、地域や親戚からも孤立していることもよく見られます。

 

 

 

 

 

そのような家族が自分自身を取り戻し、ゆっくりと自分や家族を振り返る時間を持つことはとても大切なことです。

 

 

 

 

 

自分に合った支援者や相談機関を見つけることで、このような時間を取り戻す場合もあれば、最近数多く出版されている「ひきこもり」の本や情報に触れてみることがよいきっかけとなることもあるでしょう。

 

 

 

 

 

特に家族に勧めたいのは、家族教室や「ひきこもり」の親の会など、同じ悩みを抱えている家族同士が集まってくる場へ参加することです。

 

 

 

 

 

このような場で、家族は悩んでいるのは自分たちだけではないこと、同じ問題をさまざまに乗り越えてきた家族があることなどを知り、安心したり勇気づけられたりします。

 

 

 

 

 

このような場へ参加することで、初めて「ひきこもり」の問題に取り組む意欲や希望が回復した家族も少なくありません。

 

 

 

 

 

最近では精神保健福祉センター等、公的な援助相談機関がこのような場を設けることが増えてきました。積極的な利用が望まれます。

 

 

 

 

 

危機介入の必要性の判断

 

 

 

 

 

家庭内で暴力を振るうなど家庭内がかなり緊迫した事態におちいっている場合は、少し積極的な介入が必要になることがあります。

 

 

 

 

 

支援者は、事態の緊急度をできるだけ的確に判断し、緊急訪問の必要性、保健所、警察その他関係機関との連携や家族の避難の必要性について判断し、また、どこの機関の誰が連携の責任者(マネージャー)になるかも関係者と相談して決定します。

 

 

 

 

 

不幸にも、家族に怪我を負わせてしまった場合、本人自身もひどく傷つくものです。家族の相談を受けながら、必要に応じて事態の緊迫度を予測して行動することも大切です。

 

 

 

 

 

リスクマネジメントも家族支援の大切な目標の一つなのです。

 

 

 

 

 

本人の支援につながる家族支援

 

 

 

 

 

家族支援を通じて、本人の変化を生み出す契機を工夫することも大切です。ひきこもっている本人は、会話はあまりなくても日常的に家族とともにいます。

 

 

 

 

 

つまり、本人に一番影響を与える立場にいるのが他でもない家族なのです。家族の家庭内での日常的な振る舞い、言葉遣い、言い回し、言外の雰囲気など、ささやかな対応の工夫で家庭内の雰囲気を変えることは十分可能です。

 

 

 

 

 

一度に急に変えることは難しいにしても、そのような工夫を少しずつ積み重ねるうちに、徐々に家庭内の雰囲気が変わってきたことが本人にも伝われば、次の変化を生み出す準備ができてきたことになります。

 

 

 

 

 

本人と家族の状況を把握し、よい兆候に焦点を当てる

 

 

 

 

 

まず、家族の話を詳しく聞くなかから、本人の様子を把握します。毎日の食事、入浴、1日の生活リズムをはじめ、家族との会話の様子、とくに家族の話しかけや行動に対する本人の反応を詳しく尋ねます。

 

 

 

 

 

そのような様子を聞きながら、家族が本人をどのように受けとめているかを理解すると同時に、本人は家族の言動をどのように感じ、受けとめているかも推測してみることが大切です。

 

 

 

 

 

このような本人と家族との会話や交流の様子を尋ねていくと、本人と家族それぞれの事態の受け止め方が把握でき、家庭内で起きているやりとり(相互交流パターン)も把握できるようになるでしょう。

 

 

 

 

 

このようなやりとりを聞いていくなかで、いつもとは異なる少し良い兆候やいつもと違った反応などにとくに焦点を当て、そのような反応を引き起こすのに役立ったことなどを尋ねていくことが、新しい視野を広げる契機となることがあります。

 

 

 

 

 

一方、ひとり言を言うなど意味の通じない、まとまらない言動がみられたり、魔術的・儀式的な行動にこだわるなど、本人の様子を尋ねることによって医学的な治療の必要性が把握できることもあります。

 

 

 

 

 

当然、その場合には医療機関へつなげることも大切な支援となります。

 

 

 

 

 

家族の対処を変える働きかけ

 

 

 

 

 

長期にわたる「ひきこもり」の問題を抱えている家族は、心配のあまり常に本人に注目し続けているために、しばしば本人に接近しすぎてしまっていることがあります。

 

 

 

 

 

ひきこもっている本人と家族との距離が「過保護」や「過干渉」とよべるくらいに緊密になっている場合、背景にこのような事情が見られることがありますが、それはけっして問題の原因ではありません。

 

 

 

 

 

また、家族の側の自責感から本人の要求のままに行動し、家族自身の仕事や生活を犠牲にしてまで本人に尽くしている家族に出会うこともあります。

 

 

 

 

 

反対に、本人を「甘え」や「怠け」としか理解できず、あるいは将来への不安から外へ出ることをせかしたり、就労への圧力をかけたりし、それに応じない本人を批判したり責めたりしてしまう家族と出会うことも珍しくありません。

 

 

 

 

 

このようなやり取りが家庭内の緊張を高め、本人の「ひきこもり」を一層強めてしまうことがあります。このような緊迫したやり取りは、持続する慢性のストレスにさらされていたり、周囲から孤立して援助や協力が得られないと感じていたり、問題についての正しい知識を十分にもっていないため、どう対処してよいか分からないといった場合に起こりやすいとされています。

 

 

 

 

 

家族がゆとりを取り戻すためのさまざまな働きかけを家族と共に工夫したり、緊張を高めてしまう家庭内のやりとり(交流のパターン)をわかりやすく説明することで、家族もちょっとした言葉かけの仕方の工夫ができるようになるものです。

 

 

 

 

 

そのようにして少し緊張が緩和されると、さらによりポジティブな言葉かけややりとりの工夫が生まれやすくなり、そのゆとりの雰囲気が本人にも伝わることによって、本人も少し楽に動けるようになることが期待できます。

 

 

 

 

 

「ひきこもり」という事態に対して家族が対処していこうというゆとりを持てたとき、ようやく本人の変化への準備が始まると言ってもよいほどです。

 

 

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