ひきこもりの子どもは社会復帰できるのか?
ホーム > ひきこもりの子どもは社会復帰できるのか?

ひきこもりの子どもは社会復帰できるのか?

 

 

 

ひきこもりの子どもがいる家族の最大の不安は、子どもが将来果たして就職するなど自立できるかどうかにあると思われます。親が働けるうちはなんとか養うことができますが、いずれ高齢となり経済的な基盤が変化することは自ずと明らかなことです。

 

 

ひきこもりは主に10歳代に始まり20歳代に明らかになり、30歳代以降になっても見られることから、まさに人が学業を終え就職するなど社会活動を始める時期と重なっています。

 

 

親の年齢は40歳代から60歳代に対応し、多忙な社会生活の渦中にあり、定年を迎えるなど家庭の経済的環境が大きく変化したり、祖父母の介護などの新たな問題が生じる時期でもあります。皮肉なことですが、ひきこもりの子どもの存在はわが国が「豊かな社会」を曲がりなりに実現したことに由来していることは明らかです。

 

 

すなわち、働かない(働けない)子どもがいても家庭のなかにおくことができるわけです。家族のライフサイクルを踏まえ、今後家族がひきこもりの子どもをいつまで抱えることができるかを念頭におくことも大事なことです。

 

 

その意味で、焦らずに「待つ」姿勢が重要である一方で、治療の見通し、社会参加の見通し、家庭の経済的見通しをきちんと本人を交えて話し合う必要があります。



 

社会復帰の諸段階



 

人間関係を避け、社会活動に参加することなく、自分の世界のなかに入り込んでまさに出口なしの状態からどう脱していくかが課題となります。

 

 

家から出て自分から人と交わるなど対人関係の能力や技術がうまく育っていないことがネックになっているわけですから、働いて経済的な自立を果たすということは、ある意味で究極のゴールといえなくもありません。

 

 

しかし、この世の中にまったく人間関係が介在しない仕事はないと考えられ、対人関係の能力は生身の人間と接することでしか獲得できないことも事実です。したがって、実現に至るためにはさまざまな障害が予想されます。

 

 

それをきちんと認識し、現実的に対応していかなくてはなりません。それなりの長い助走が必要かもしれません。一人ひとりそこに至る道は異なり一定の公式はないといえますが、そうであっても成功例に学ぶという謙虚さが必要です。

 

 

それでは、助走にはどういうものがあるのでしょうか。若干の例を見てみます。なお、以下はひきこもりの状態が自室でのひきこもりから家のなかでのひきこもりに移行しているような段階のものを想定しています。



 

たまり場的空間



 

ひきこもりが援助の対象になりにくく、それに対応する機関が十分に機能していない理由として次のようなことがあげられています。



①ひきこもりの本人と出会える機会が少ないこと



②相談件数が他の問題に比べて少ないこと



③問題について認識を得られる機会が少ないこと



④問題への対応方法がわからないこと



そうしたなか、北海道の精神保健福祉センターによるひきこもりの青年のグループへの援助の実際を紹介します。同センターでは個別相談に並行して平成5年11月からおおむね20歳以上のひきこもり青年を対象に「青年グループカウンセリング」を開始して、現在に至っています。臨床心理士、ソーシャルワーカー、保健師、作業療法士がスタッフとして現場の促進者としてかかわり、月に2回(1回につき1時間半)、年度を前後期の2回に区切って定期的に開催されています。

 

 

毎回、当たり障りのない雑談や時に互いの現在の生活を語り合い、今の自分の状態が自分だけのことではないことを知り、不安を軽減させ、自分なりの落ち着きを取り戻していきます。ほとんど誰も話さずに終えることもあり、またグループカウンセリングが終わった後もスタッフなしに何時間も居残って話をしたり、時にはカラオケに行くようなこともあります。

 

 

もちろん予定調和的に進むわけではなく、さまざまな出来事が生じるのですが、このような経験を通して、新たな人と出会い、アルバイトや仕事につながり始めることになります。

 

 

この実践の結果、アルバイトを始めるなど離脱していく人、そのままグループ活動を継続して機を熟するのを待つもの、中断に至る人とさまざまですが、このような実践を通してたまり場的空間として一定の役割を果たすことを期待したいと思います。



 

各種集団への参加



 

家庭では比較的安定して家族とのコミュニケーションはとれる、外出や買い物などもできるようになった、相談機関や医療機関の関与もはかられているが、そこから次の一歩がなかなか踏み出せない場合が多いものと考えられます。

 

 

最も重要なのは家族以外の人との人間関係を持つことです。とはいっても、どのような方法で生身の人間に出会って関係を持つか、非常に困難な問題には違いありません。

 

 

一般的にはとっつきやすく、心理的にもさほど負担がかからないかたちで進めてみたらどうでしょうか。

 

 

本人の興味関心を考慮する必要がありますが、趣味等の各種サークルや自動車教習所、パソコン教室、語学学校、カルチャーセンター等の各種スクール、あるいはボランティア活動に参加することが考えられます。

 

 

ここでは実利的な利益を得ることよりは、対人関係を学習するための訓練の場であるとの構えで関わる視点が重要であると考えられます。これらの体験により、一定の前進がはかられれば、アルバイト等本格的な就職の準備段階へ進むことになります。



 

パソコンの活用



 

パソコンはめざましい勢いで家庭に普及しています。とりわけ電子メールやインターネットは通信手段として、その可能性は大きいものがあります。フェイス・トゥ・フェイスの人間関係を結ぶには困難が大きいひきこもりの人にとっては、社会や他人とつながるだけではなく、パソコンを通して家族間のコミュニケーションが活性化するという副次的な効果も期待できます。

 

 

また病院のなかには、病院とひきこもりの人がネットワークをつくり、一定の効果をあげているケースもあります。
パソコンにはまってしまい、かえってひきこもりが加速されるのではないかという不安を持つ向きもあるかもしれませんが、多くの場合はその心配には及びません。

 

 

大事なことはいかに社会や他人とつながるかということであり、パソコンがその役割を果たし、何らかのきっかけになるのであれば、どしどし活用すべきであると考えられます。


メニュー

過去の記事

団体概要
団体名
関東自立就労支援センター
理事長:
大橋秀太
理事:
大畑健太
理事:
杉下真理
住所
東京都東久留米市浅間町1-12-9
TEL
042-424-7855
メール
ki6jt7@bma.biglobe.ne.jp
活動内容
・若年者の就労支援、
 学習 支援、生活訓練
・共同生活寮の運営
・教育相談の実施
・各種資格取得支援