ひきこもりと家族のコミュニケーションの欠如
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ひきこもりと家族のコミュニケーションの欠如

ひきこもりを抱えた家族は、一種の悪循環の中に取り込まれていきます。

 

 

 

 

まず本人がひきこもりはじめ、それが長期化すると、家族の中に不安や焦燥感が高まります。

 

 

 

 

不安を抱えた家族は、本人に対してさまざまな刺激を与えて、なんとか動かそうとします。

 

 

 

 

それはしばしば正論によるお説教だったり、単なる叱咤激励だったりします。

 

 

 

 

しかし、こうした刺激は、本人にとってはプレッシャーやストレスを与えるだけで、活動を始めるきっかけにはなりません。

 

 

 

 

むしろ、刺激が加えられれば加えられるほど、いっそうひきこもり状態が深まってしまいます。

 

 

 

 

そして家族は、さらなる不安と焦りに駆られ、なかば不毛と知りつつも刺激を繰り返すことになるのです。

 

 

 

 

すでにおわかりのように、この悪循環を成立させているのは「ひきこもりと家族のコミュニケーションの欠如」です。

 

 

 

 

家族からの一方的な刺激は、それが一方的であるがゆえに、コミュニケーションとしては成立していません。

 

 

 

 

家族の言葉はまったく本人には届かず、ただ家族の不安や不満、焦燥感だけが本人を窮地へと追い詰めていくのです。

 

 

 

 

ひきこもりという行動にも、なんらかのメッセージがこめられていることは明らかです。

 

 

 

 

早い段階で、そのメッセージをしっかり受け取ることができれば、それだけで改善に向かうこともありえます。

 

 

 

 

またひきこもり状態が長期化した場合でも、本人の気持ちを共感とともに理解することができれば、こうした悪循環は防ぎえたでしょう。

 

 

 

 

メッセージを受け取ること、共感とともに理解すること、これらのことは、家族間に深いコミュニケーションがあって、はじめて可能になるのです。

 

 

 

 

そして、こうした深いコミュニケーションだけが、家族間の悪循環をとどめる力を持っているのです。

 

 

 

 

ひきこもりの時間感覚

 

 

 

 

ひきこもりは時間の感覚がくるっています。彼らは一週間なら一週間という時間の把握が、健康な人とまったく違います。

 

 

 

 

ふつうの人が三ヶ月を過ごすとき、二~三日程度にしか感じないのです。

 

 

 

 

毎日ゲームばかりしていて平気なのは、体感時間が停止した影響ではないかと考えられます。

 

 

 

 

ひきこもりはいくつになっても低い精神年齢のままでおり、「息子は三〇歳だが、中学生で成長が止まってしまったようだ」と訴える親がいますが、人格発達の停止は長期間のひきこもりによく見られる症状です。

 

 

 

 

そんな彼らに時間を無駄にしているといってもなかなか通じません。

 

 

 

 

しかしながら、本当の自分を取り戻すと、ひきこもりは失った時間にショックを受けます。

 

 

 

 

何もしないうちに過ぎてしまった一〇年、二〇年に愕然とするのです。

 

 

 

 

それまでゲームとネットに生活時間のほとんどを浪費した若者が、自分を取り戻したとたんに失った年月を嘆くのですが、この奇妙な現象は竜宮城から戻った浦島太郎が玉手箱を開けたとたんにおじいさんになるストーリーとよく似ています。

 

 

 

 

ひきこもりから回復したひきこもりの当事者は、「自分の力だけではひきこもりから抜け出せない、外部の人間の助けが必要だ」と必ず言います。

 

 

 

 

関東自立就労支援センターばかりではなく、他のひきこもりの例を見ても、自然治癒したケースをほとんど見かけません。

 

 

 

 

ひきこもりがトラウマ性の傾向がある以上、本人だけの努力で治るのは難しいと思われます。

 

 

 

 

正しい専門知識を持った第三者の早期の介入が必要です。

 

 

 

 

ひきこもりを甘えと見る日本人

 

 

 

 

多くの日本人は、社会が自由で物が豊かだからひきこもりが増えていると思っています。

 

 

 

 

自分の部屋に閉じこもる若者に対して、「甘えているのだ」「現実逃避にすぎない」「勇気を出して乗り越えていけばいい」と批判します。

 

 

 

 

彼らの親に対しては「甘やかしているから、あんな子どもができたんだ」「家からたたき出せばすむことではないか」などと、これまた厳しい意見が浴びせられます。

 

 

 

 

「弛んだ精神を叩きなおす」というのは日本の伝統的な考え方です。この考えに従えば、甘ったれた人間を矯正するには、痛い目にあわせればいいことになります。

 

 

 

 

昔は軍隊が新兵を虐待して「弛んだ精神」を叩きなおしました。

 

 

 

 

そして八〇~九〇年代の学校では、「甘ったれた子どもたち」を体罰で服従させる管理主義教育がありました。

 

 

 

 

この伝統的な考え方によれば、部屋に閉じこもるひきこもりは「弛んだ精神」をもつので、叩きなおさないと社会参加できません。

 

 

 

 

これを文字どおり実行する治療機関が名古屋にあると、テレビの報道番組でやっていました。(この治療機関はスタッフが相談者に暴行を働き逮捕され、現在は閉鎖されています)

 

 

 

 

その女性所長はひきこもりに厳しい集団訓練をします。番組の中で彼女は、ひきこもりの家に乗り込み、親族一同の中で「甘ったれるな。どれくらい周りに迷惑をかけているのか分かっているのか!」と啖呵をきります。

 

 

 

 

彼女の指導で、ひきこもりの若者は親と親戚からつるしあげられ、弟から殴られます。

 

 

 

 

その日のうちに家を強制的に出されたひきこもりの若者は、全寮生活に入り、合宿所の掃除から運動、そして作業など毎日アメリカ海兵隊並みの厳しい訓練を受けるのです。

 

 

 

 

そして、「仕事」をするようになると、ひきこもりが「治った」とされます。

 

 

 

 

「三〇分でひきこもりを治す」と豪語するこの女性所長は、「ひきこもりはただの甘えにすぎない」と考える日本人には歓迎されたようです。

 

 

 

 

その報道番組も、そういうニュアンスでした。「何のために生きているのかわからない」、あるいは「親が死んだら餓死する」と考えるひきこもりに対して、この女性所長は明らかに「親の甘やかし」がひきこもりの原因、別の言い方をすれば、豊かで自由だから「甘えたひきこもり」が生まれると考えています。

 

 

 

 

女性所長がたびたびテレビで取り上げられ、日本全国を講演し、何冊も本を出版する事実は、多くの日本人がひきこもりを怠け者、嫌なことから逃げている人間だと見ている証拠です。

 

 

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