ひきこもりからの生還実録記
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ひきこもりからの生還実録記

 数年間のひきこもりの後にようやく見つけた自分。

 

 

 

 

現在、33歳になるNさんが、ひきこもるようになったのは、23歳のころでした。

 

 

 

 

その後、何とかひきこもりから脱し、再び外の世界との接点を持てるようになるまで約6年という月日を要することになりました。

 

 

 

 

「情報系の短大卒業後は公務員を目指して2年連続で公務員試験を受けたのですが、合格することはできませんでした。

 

 

 

 

そのあたりから、自分が何をやっていいのかわからなくなり、部屋にこもるようになってしまったのです」

 

 

 

 

そのころのNさんは、自分で何かを考えることができなくなっており、すべてを放棄してしまいたいような精神状態だったそうです。

 

 

 

 

「親のせいにするのは気がひけるのですが、原因は親の過干渉にあったと思います。

 

 

 

 

母親はとにかく自分のすることに常に干渉し、世話を焼いていました」

 

 

 

 

Nさんがひきこもり、親との関わりあいを完全に拒否する一方で、親御さんはNさんにお小遣いを与え続けました。

 

 

 

 

「働きもせずにただひきこもっている状態で親から小遣いをもらい続けるというのは恥ずかしい反面、そのときは恥も外聞もない状況でした。

 

 

 

 

もうどうだっていいやと、自暴自棄になっていました」

 

 

 

 

しかし、そのお金があったおかげで、時には好きな音楽のCDなどを買いに外出することができました。

 

 

 

 

自転車でひとり街を走り回ることは、時に死にたいとまで思いつめることもあったNさんには貴重な息抜きの時間でした。

 

 

 

 

「今は親に感謝しています。6年の間、力ずくでわたしを無理やり引きずり出すようなことはありませんでしたから。

 

 

 

 

もし親が力で迫ってきたら、こちらも力で応えたかもしれません。暴力は暴力を呼ぶだけだと思います」

 

 

 

 

部屋にひきこもりながらも、その状況から脱するきっかけを探っていたというNさんは、いつしか自分の将来を考えるようになっていきました。

 

 

 

 

そしてあるとき、市の精神保健福祉センターで、青年グループを作っているのを偶然知ることになりました。

 

 

 

 

そして、勇気を振り絞って参加してみるという決断をします。意を決して参加した青年グループには、自分とおなじような境遇の人たちが集まっていました。

 

 

 

 

それだけに気軽に話をすることができ、徐々に友だちもできていきました。これをきっかけにして、Nさんはひきこもりから立ち直ることになります。

 

 

 

 

そして、自分のように悩んでいる人に対してカウンセリングをおこなえるようになりたいと考え始め、そのための勉強を始めることになりました。

 

 

 

 

「今はとてもやりがいを感じています。ひきこもりから抜け出せたころは、無駄な6年間を過ごしたなと思いましたけど、不思議なもので、あの6年間があったからこそ自分がやりたいと思うことを見つけられたんです」

 

 

 

 

長いひきこもり期間を経て、以前とは違い、今は物事をポジティブに捉えることができるようになったとNさんは実感しています。

 

 

 

 

〇  子どものためによかれと思ったことが裏目に

 

 

 

 

Yさんは20歳の息子と16歳の娘を持つ2児の母親です。「長男が高校2年のときに高校を中退し、その後ひきこもり状態になってしまいました」

 

 

 

 

その後、当時中学2年だった長女も不登校になり、どうしたらいいのかわからなくなったYさん自身も、近所の人たちに子どものことを聞かれるのが怖くなり、だんだんと人目を避け、ひきこもりのような状態に陥ってしまいました。

 

 

 

 

「原因はわたしの過干渉です。その当時は子どものためによかれと思ってやっていました。

 

 

 

 

今考えると恥ずかしい話ですが、自分ではいい母親だと思っていたんです」

 

 

 

 

以前のYさんは、子どもたちを朝必ず起こし、遅刻しそうになると学校の近くまで車で送っていったりすることもあったようです。

 

 

 

 

また、娘のテストの結果が悪いと、次のテスト前には熱心に勉強を教え、その結果、成績が上がると娘以上に喜んでいました。

 

 

 

 

「振り返ってみると、本人たちが起きられなければ遅刻させれば良かったんです。それから、長男がひきこもってしまったせいで、娘だけはそうさせてはいけないと思い、それまで以上に過干渉になっていました。

 

 

 

 

娘には相当のストレスを与えていたと思います」Yさんのご主人は、当時も今も単身赴任中です。

 

 

 

 

「ふたりが学校に行かなくなって、主人にはお前が甘やかしたからだと言われました」

 

 

 

 

そのころ、夫婦関係を含めた家庭環境は最悪だった、とYさんは振り返ります。

 

 

 

 

「当時は本当によく夫婦喧嘩をしていました。お互いに罪の擦り付け合いをしたりしていました。

 

 

 

 

でも、カウンセリングを受けるようになって、主人にこうしてほしいとか、あれをやってほしいとか言う前に自分が先に変わろうと思えるようになってきたんです。

 

 

 

 

それからは主人とも冷静に話をするように心がけて、ふたりで協力して家庭の雰囲気を良くしようと努めました。

 

 

 

 

電話で愚痴を言うと主人が心配になるばかりなので、今日はこんな冗談を言ったら、娘が笑ったよというように、良いことだけを報告するようにしていきました」

 

 

 

 

自分からまず変わろうと決心したYさんは、今は言いたいことがあっても一度胸に納め、あとでじっくり考えてから必要なことだけを言うようになったといいます。

 

 

 

 

「カウンセリングを受けて、先生の話を聞くうちに、気が長くなったような気がします。

 

 

 

 

これからは先回りをするのではなく、子どもの成長を見守っていこうという気持ちでいます」

 

 

 

 

一時期は風呂にも入らなくなってしまった長女だそうですが、Yさんが変わっていくにつれて、明るさを取り戻し、通信制高校で勉強するまでになっていきました。

 

 

 

 

将来は専門学校に進学したいと考え始めるようになっています。長男のほうも、通信制高校に通うようになり、前向きな姿勢を取り戻し始めました。

 

 

 

 

好転した状況を実感しつつ、Yさんはこれからも家庭の雰囲気を良くしていくことが母親の役目だと感じています。

 

 

 

 

〇 本人がやりたいことをやらせる。

 

 

 

 

Aさんには、ひきこもったことのある17歳の次男がいます。次男は、中学3年生になったころから学校を休みがちになり、夏休みがあけ、進学に向けての指導が多くなっていくにつれて、とうとう不登校になっていってしまいました。

 

 

 

 

それでもどうにか学校に行かせようと、Aさんは次男を保健室に通わせました。高校入試は試験に遅刻しながらも受けさせ、どうにか合格することができました。

 

 

 

 

しかし、入学するとすぐに学校に行かなくなり、退学してしまったといいます。その後、週に1度通うだけの通信制などにも通わせましたが、教室に入って20分もすると、腹痛を訴え、トイレからでられなくなる状態が続きました。

 

 

 

 

病院にいってみると、ストレスが原因の過敏性腸炎という診断を受けました。

 

 

 

 

Aさんには長男もいますが、すでに社会に出て就職しています。どうして次男だけがうまく学校や社会に適応できないのかと思い悩む日々が続きました。

 

 

 

 

「自分の子どもには、高校を卒業し、その後は大学へ進学し、ちゃんとした会社に就職してほしいという世間一般的なイメージを抱いていました。

 

 

 

 

学校の勉強が遅れると、がんばってと言って塾へ通わせたり、勉強を手伝ったりもしていました。

 

 

 

 

それが親として当然のことだと思っていたのです」通信制の高校に通っている間にも、Aさんはがんばれ、がんばれと次男を励まし続けました。

 

 

 

 

「でも、いくらがんばらせてもなかなか成績が上がらなかったんですよ。当時、次男はピアノを習っていたんですが、それが結構上手だったんです。

 

 

 

 

ですから、勉強がだめならピアノだと思い、今度はピアノをがんばらせたんです」

 

 

 

 

本人がピアノを弾くことが好きなのかということにはお構いなしでした。そしてしだいに次男はひきこもりの状態へとおちいっていってしまいました。

 

 

 

 

「後で知ったんですが、親に見放されないようにと次男は思い、いやでも反抗しないように自分を抑えていたそうです」

 

 

 

 

その当時のAさんは、そんな息子の気持ちにまったく気がつかなかったといいます。

 

 

 

 

ひきこもりになってからしばらくして、心療内科とデイケアの先生に相談すると、心理テストと知能テストを受けることを勧められました。

 

 

 

 

結果を見ると、知能が平均値よりも少し低いということが判明しました。「実は次男は出産のときに仮死状態で生まれてきたんです。

 

 

 

 

それで若干知能にも影響が出たんだと思います。それに気がつかずにいろいろと詰め込もうとしてしまったのです」

 

 

 

 

子どもに次から次へと詰め込もうとするAさんと違い、父親は子育てに無関心で、仕事に逃げてしまう人だったといいます。

 

 

 

 

しかし、カウンセリングを受けたことをきっかけに、夫婦ともにもっと子どもについて考えなくてはいけないと、それまでの態度を変えていくことになりました。

 

 

 

 

それからは、どちらかというと高圧的で頑固なタイプだった父親が、次男を連れて日帰り温泉などに行ったりするようになりました。

 

 

 

 

現在は、デイケアで友だちも作ることができ、どうにかひきこもりの状態から脱しているという次男です。

 

 

 

 

Aさんは、「子育ては大事業」と実感しつつ、今後は次男のやりたいと思うことを尊重し、レールに乗せるようなことは絶対にしないつもりでいます。

 

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