なぜ最近の若者たちは引きこもるようになったのか?
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なぜ最近の若者たちは引きこもるようになったのか?






かつては、若者が家に引きこもって対人接触をしなくなっている、あるいは閉じこもっているといえば、統合失調症を疑ったものです。





しかし、現代ではいわゆる精神病ではない引きこもりが一般的になっています。





引きこもりをどうみるかについては、さまざまな考え方がありますが、わたしは引きこもりの多くは環境面・心理面に原因があって起こる問題、さらにいうと思春期心性に深く根ざした問題であると考えています。





では、なぜ、このような若者が増えたのでしょうか。そのことを考える前に、現代の若者全般について目を向けてみましょう。





わたしは大学生から相談を受けることも多いのですが、驚いたことにその大部分が対人関係の悩みです。





引きこもりであるか否かにかかわらず、現代の多くの若者が対人関係に問題意識やつまずきを感じているということなのです。





このように引きこもりの若者が増えている背景には、対人関係に非常に敏感で傷つきやすい若者が増えているということを指摘することができます。





その原因をどう考えればよいのでしょうか。





まず考えられることは、対人関係の学習が不足しているということです。





最近の小学生はギャング・エイジを経ない子どもが増えているという指摘があります。





子どもたちは小学校の高学年ころになると、同性同士、すなわち男の子であれば男の子同士、女の子であれば女の子同士で親密なグループを形成して、グループでの取り決めや約束事を重要視するようになるといわれています。





そういう時期のことをギャング・エイジといいます。





いままで親の言うことをハイハイ聞いていた子どもも、親の言うことよりもグループの取り決めのようなもののほうを重要視するというわけです。





たとえば、今まで母親から四時までに帰りなさいと言われて、それに従っていた子どもが友だち同士で五時まで遊ぼうということになります。





「四時までに帰らないと叱られるけど、帰ると仲間はずれにされそうだ・・・・・」この状況は、この子どもにとっては非常に苦しい状況になります。





しかし、結局、友だち同士の約束を重視することになるわけです。





このようなことは社会性を身につけるうえで、大切なことでもあるのです。





ところがゲームなど遊び方の変化や塾通いなどの生活の変化から、このギャング・エイジを経ない子どもが増えてきたといわれているのです。





また、最近の子どもはケンカをしなくなったという指摘もあります。





このような一連の状況は何を意味するかというと、子どもたちは深い人間関係を体験できなくなっているということではないでしょうか。





子どもたちは遊びを通して信頼関係を築き、共感性を養っていくと考えられます。ケンカも遊びの一つと考えれば、遊びというものが対人関係をトレーニングする場となりにくくなっていると考えることができるでしょう。





このような深い対人関係を体験できなくなっていることは引きこもりの大きな要因と考えてよいでしょう。





さてここで、もう少し幼少期の家族の問題にも目を向けてみたいと思います。





わたしは、このような若者たちの傷つきやすさの背景には、その一因として不健全な自己愛があるのではないかと考えています。





現代は少子化の時代です。昔と違って家庭には一人か二人の子どもがいるだけです。しかも、経済的に豊かになっています。





このような状況のなかで、貴重になった子どもたちは家族のヒーローやヒロインになっていきます。





愛情をふんだんに注がれることはたいへんけっこうなことなのですが、場合によっては、うぬぼれの強い自己愛的な子どもたちが生みだされていきます。





幼稚園の発表会などを見てつくづく感じることなのですが、ステージ上の子どもたちは親たちにとってまるでスターのようです。





自己愛にも健全な自己愛と不健全な自己愛があります。ここで問題となるのは、不健全な自己愛です。





実力もないのにプライドだけが高い、実は自信もないのに、人を人とも思わない横柄な態度をとる、自分中心の勝手な論理で行動する、他人を思いやるような共感性に欠けている、このような自己愛は不健全な自己愛といえるでしょう。





こういうナルシストが増えています。彼らは独特の傷つきやすさを持っています。彼らが対人関係で傷つき、その傷つきから引きこもってしまうことは容易に想像がつきます。





なぜ、このようなナルシストができあがるのかというと、一つには親自身の自己中心的な態度があげられます。





こういう親は、自分の願望や理想を子どもに一方的に押しつけます。「一方的に」というところが問題です。これが悪しき自己愛を生む一つの要因なのです。





つまり、このような子どもたちは本当の自分を生きることができなくなるのです。親の道具として偽りの自分を形成するわけで、それは自己中心的なナルシストを生み出していくのです。





このような悪しき自己愛化は、共感性の乏しい自己中心的な人格、脆弱で傷つきやすいナルシストを作り上げていきます。





彼らは往々にして尊大な態度をとりますが、それは弱々しい真の自分の上に肥大した偽りの自分が乗っているからです。





実際は、ちょっとした非難や批判にぐらぐらと揺れているのです。彼らが自分の意見を少しでもけなされるとひどく怒りを爆発させるのはこのためなのです。





このような怒りの爆発は自己愛的激怒と呼ばれています。最近の若者の「キレる」現象は、まさにこの自己愛的激怒と関係があるといってもよいでしょう。





実は、対人関係に非常に傷つきやすいのです。彼らは傷つきを避けるために閉じこもるか、尊大な態度で自己を防衛します。





現代は若者の凶悪化と引きこもりという、いわば対照的な現象が問題になっています。このような現象が起こる背景には、不健全な自己愛が災いしていると考えられるのです。

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