いじめとひきこもり
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いじめとひきこもり

ひきこもり問題においても、「いじめ」はしばしば問題になります。全体に占める割合は統計データがありませんが、ひきこもり状態の何割かは、いじめ被害に起因することはあきらかです。

 

 

 

 

もちろんひきこもる原因はそれだけではありませんが、かなり大きな一角を占めていることは、思春期の専門家であれば異論のないところだと思います。

 

 

 

 

むしろ、すべての「ひきこもり」がいじめに起因する、といった極論すら見受けられますが、これから述べる理由によって、わたしたちはそのようには考えていません。

 

 

 

 

というのも、「ひきこもり」集団の中にあって、いじめ被害の犠牲者は、かなり異質なグループであるように思えてならないからです。

 

 

 

 

ひきこもりの問題において、しばしば問題となるのが、「自殺」です。

 

 

 

 

多くのひきこもりの事例で「もう死にたい。自分の痕跡を早く消したい」「次の誕生日までには死ぬ」「楽な死に方を教えて欲しい」「死にたいから睡眠薬を買ってきて欲しい」などといった訴えが見られます。

 

 

 

 

また実際に自殺未遂に至る事例も少なくありません。大量服薬や手首自傷などがしばしば起こり、「完全自殺マニュアル」の人気もいまだに根強いものがあります。

 

 

 

 

しかし、幸いにも、彼らが本当に自殺に至る可能性は、それほど高くないという印象があります。

 

 

 

 

ここで例外となるのが、深刻ないじめによる被害の経験者です。残念なことに、彼らはしばしば本当に自殺してしまうことがあります。

 

 

 

 

自殺事例のほとんどが、いじめ被害の経験者であるという事実は偶然ではありません。

 

 

 

 

ひきこもりのグループの中にも非常に深刻ないじめを受けたケースと、さほど深刻ではなかったケースがありますが、両者はあきらかに症状的にも異なっています。

 

 

 

 

端的に言いますと、深刻ないじめ被害を受けたケースは、一般にきわめて攻撃性が高くなる傾向が見られます。

 

 

 

 

攻撃性といっても、あるときは家族に向かい、もしくは社会、あるいは自分自身に向かうなど、方向性が定まらないのが特徴です。

 

 

 

 

ご存知のように、暴力というのは連鎖します。暴力的ないじめにあった人は、他人や自分に対しても暴力的になるのが普通です。

 

 

 

 

それでは、こうした連鎖はなぜ起こるのでしょうか。いじめ被害は深刻なトラウマとして痕跡を残します。a0002_011870

 

 

 

 

そのトラウマは、生涯にわたって残り続け、決して消えることがありません。

 

 

 

 

たとえ老年期を迎えても、いまだに小学生時代のいじめ体験の記憶から逃れられていない人の話は、しばしば耳にします。

 

 

 

 

これを今風の言葉で言い換えるなら、いじめ被害はPTSDをもたらすのです。

 

 

 

 

PTSDすなわち「外傷後ストレス障害」とは、トラウマや著しいストレスにさらされた後に、その体験に関連するフラッシュバックや過敏性、あるいは類似の体験を回避しようとする行動などによって生活上の支障をきたすような精神障害を指しています。

 

 

 

 

この診断は、1980年にアメリカの診断基準(DSM-Ⅲ)にはじめて記載されました。

 

 

 

 

レイプや家庭内暴力、児童虐待、災害、戦争などが、その原因となりえます。

 

 

 

 

日本では、とりわけ阪神淡路大震災以降に被害者学が注目されるようになり、それとともに、PTSDという概念も広く知られるようになりました。

 

 

 

 

繰り返し強調しておきますが、いじめ被害は確実にPTSDにつながります。

 

 

 

 

それも、複雑性PTSDと呼ばれる、かなり治療困難なタイプのものとなりやすいです。

 

 

 

 

このことはすでにいくつかの学術論文で指摘されていますが、しかしいまだに十分とはいえません。

 

 

 

 

わが国の被害者学の一角を占めるべき最重要な課題の一つであるにもかかわらず、です。

 

 

 

 

いじめ自殺の報道はしばしば見受けられますが、そのほとんどがいじめ被害を受けた直後のものです。

 

 

 

 

しかし、いじめ被害からPTSDを発症し、ついには自殺に終わった事例については、これまでほとんど取り上げられてきませんでした。

 

 

 

 

こうした事例も、あきらかにいじめの被害者として認識すべきであろうと思います。

 

 

 

 

外傷性精神障害は、もっとも治療が困難な疾患の一つです。通常の思春期事例に比べても、いっそう濃密な治療関係とテクニックを必要とします。OHT96_asahikawaekinohome500_TP_V1

 

 

 

 

薬も十分に効きません。治療期間も長期にわたり、改善したかと思いきや急速に悪化することを繰り返します。TSU86_hunnwari500_TP_V1

 

 

 

 

とりわけいじめ被害者は、あらゆる思春期事例の中で、もっとも深刻な人間不信におちいっていきます。

 

 

 

 

その衝撃的な攻撃性は、しばしば治療者等の支援者に対しても向けられるため、支援や治療関係も破綻してしまうことが多いのが実情です。

 

 

 

 

これほど困難な事例を大量に生み出している「いじめ」という問題を、これ以上あいまいなまま放置すべきでないことは、すでに自明のことです。

 

 

 

 

「ひきこもり」対策の一環として、あるいは被害者学の重要な対象として、いじめ被害者への十分な治療的対応と、加害者救済をも含みこんだ、長期的なフォローアップ・システムの完備を急がなければなりません。

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