「常識的対応」は引きこもりをこじらせる
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「常識的対応」は引きこもりをこじらせる

二階の部屋に引きこもっている息子が、階下の父親に携帯電話をかけます。「おい、コンビ二へ行って、いつものお菓子を買って来い!」

 

 

 

 

この言葉に切れた父親はこう応対します。「ふざけるな!だいたい、父親に向かってなんという口のきき方をするんだ。

 

 

 

 

そんなに家が気に入らないなら、さっさと出て行け!」側で母親がおろおろしています。

 

 

 

 

このような光景は、今、日本列島のいくつかの家庭で日々繰り広げられているはずです。

 

 

 

 

男の子は一人っ子の十七歳です。引きこもり歴は二年です。今までは父親も母親も腫れ物にさわるような対応をしてきたのですが、さすがに父親はもう限界にきていて、この数ヶ月は電話で険悪な会話を交わし続けています。

 

 

 

 

わたしはこのお父さんの言っていることは正しいと思います。ですが、この種の正しさをいくら口を酸っぱくして言っても、引きこもってしまった子どもにはほとんど効果はありません。

 

 

 

 

不登校でも引きこもりでも同様ですが、このような父親の常識的な対応は、問題を解決するどころか、かえってこじらせてしまうことが圧倒的に多いのです。

 

 

 

 

なぜなら息子のほうは、父親の言っていることなど、とっくに気づいているからです。

 

 

 

 

自分が「間違っている」、あるいは「自分の行動が父親を怒らせている」ことがわかっていながら、なおそのような行動をとるのはなぜでしょうか。

 

 

 

 

わたしたちは電車に乗ったり、町中を歩いているだけでも、実に多くの人たちと出会っています。

 

 

 

 

しかし、何か態度や行動で接触しない限り、ゆきずりの人には特別な感情は抱きません。

 

 

 

 

ところが家族のような身近な人には感情を持ちます。

 

 

 

 

親子は最も濃密な人間関係ですから、他人に対するような遠慮がありません。

 

 

 

 

そのぶん双方がむき出しの感情をぶつけやすく、他人とは異なった深刻なトラブルを生じやすいのです。

 

 

 

 

他人との関係は努力してうまく結ぼうとするものですが、身内の親族、とくに子どものことになると、直截的で遠慮も何もなくなります。

 

 

 

 

時には無茶や強引さが出てきてしまいます。しかし子どもといえども、物心がついてからは「他人と同じ」考えを持って臨まなければならないのです。

 

 

 

 

不登校や引きこもりで困っているご両親を見ていると、このことがおわかりになっていない人が多いと感じます。

 

 

 

 

「親子きょうだいは最初の他人」と考えるところから出発する必要があると思います。

 

 

 

 

部屋にひきこもったまま親に買い物を命令するような息子さんにも非はあります。

 

 

 

 

でも、どっちが先に理解してあげるべきかは言うまでもないことです。

 

 

 

 

親子関係を悪化させるもの。

 

 

 

 

人間は基本的に自由に生きたいと思っている存在です。誰からも束縛されることなく、自分自身の希望や夢や願望、あるいは欲望に従って生きていきたいと思っています。

 

 

 

 

これが人間の基本的な欲求というものです。しかし、社会的動物でもある人間は、自分の好き勝手には生きられません。

 

 

 

 

どこかでコントロールしなければ社会人としては認めてもらえません。コントロールは必要不可欠です。

 

 

 

 

ですが、問題はそのコントロールのあり方なのです。

 

 

 

 

たとえば、あなたはご主人にコントロールされて生きたいですか。

 

 

 

 

あるいは奥さんにコントロールされて満足ですか。

 

 

 

 

立場や境遇で人からコントロールされることはあっても、それで満足している人は少ないと思われます。

 

 

 

 

他人からされるコントロールを外的コントロール、自分自身でするコントロールを内的コントロールと便宜的に呼ぶとすると、誰だって内的コントロールで生きていきたいと思うはずです。

 

 

 

 

親子関係でもこれは少しも変わりません。つまり子どもは自分で自分をコントロールして生きていきたいのです。

 

 

 

 

教育、とくに家庭教育とは、子どもが自分でコントロールして生きていけるように導くこと、つまり内的コントロールのノウハウを教えるのが家庭教育ということです。

 

 

 

 

ところが、親は子どもを自分たちでコントロールしようとします。

 

 

 

 

自分よりも上位の立場にある人間が、自分をコントロールしようとしてくると、人間関係は悪化します。

 

 

 

 

なぜなら、身近な関係であればあるほど、コントロールするほうは心配りを欠いた形でしてくるからです。

 

 

 

 

「子どもだから」と遠慮なしにする干渉や押しつけ、命令、指示、懲罰などは子どもたちの心を想像以上に傷つけていることをもっと知る必要があります。

 

 

 

 

犯人捜しは意味がない。

 

 

 

 

子どものことで夫婦仲が悪くなることがよくあります。子どもが何か失敗したり問題行動を起こす、すると「子どもがこうなったのもお母さんが甘やかすからだ」「いいえ、お父さんがほったらかしにするからよ」などと、お互い相手を責め合ってこじれてしまうのです。

 

 

 

 

子どもが不登校や引きこもりになることは家族にとっては大問題ですから、「誰のせいだ」といった犯人捜しが家庭内で行われても不思議ではありません。

 

 

 

 

しかし、昨今の引きこもりの問題でもおわかりのように、いちばん大きな原因は社会の変化にあるのです。

 

 

 

 

ですから犯人探しをしても仕方がないのです。わかったところで子どもさんの不登校や引きこもりが解決するわけではありません。

 

 

 

 

問題はいかにお子さんを学校へ行けるようにするか、あるいは特別な能力、才能を発見して自信を持たせていくか、ということで、そのためには犯人捜しはかえってマイナスの影響を与えてしまいます。

 

 

 

 

不登校や引きこもりの学校、あるいは社会への復帰率はどのくらいあるのか、はっきりした統計はいまだありませんが、経験的に言えば、20%くらいは自分で立ち直ります。

 

 

 

 

同じくあと20%くらいが偶然のきっかけで立ち直ることができます。それからあと20%くらいが関係者の努力で立ち直っていきます。

 

 

 

 

でも、これは非常に軽い状態のときに当てはまることで、不登校が長引いてしまったり、引きこもる生活がそれなりに確立してしまったような場合には、立ち直りがかなり難しくなってきます。

 

 

 

 

そういう人は、今全体の少なくとも40%くらいはいると思います。

 

 

 

 

つまり、不登校も引きこもりも6割軽症、4割重症ということになりますが、その4割の仲間入りをしてしまうかどうかの分かれ目に「犯人捜し」があると言ってもいいのです。

 

 

 

 

犯人を捜すよりも被害者を慈しむことに力を注いでください。

 

 

 

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